任意売却の流れ

「任意売却」という言葉は知っていても、いざするとなるとどういったことをするべきなのか、見当もつかない方も多いのではないでしょうか?ローンが滞納する前に、任意売却の流れを把握しておきましょう

全体スケジュール

Step1:事前相談
Step2:不動産価格査定
Step3:媒介契約締結
Step4:債権者との売出価格の交渉
Step5:売却活動
Step6:配当案作成、抵当権等抹消承認
Step7:任意売却における売買契約
Step8:引っ越し
Step9:決済
Step10:任意売却をした後

Step1:事前相談のポイント

任意売却を円滑に進めるためには事前相談がきっちりできているかどうかが非常に重要なポイントになっています。

・抵当権等を登記設定している債権者は何社あるのか。

一般的に、任意売却の為などで不動産を第三者の買主に譲渡する際、買主の権利を阻害する全ての登記を抹消しなければなりません。

・現時点で住宅ローンを滞納しているか。いつから滞納しているか。また、差押されているか。
任意売却は、住宅ローンを支払えない状況になってはじめて行うことができます。つまり、苦しい生活のなかで何とかローンを返済している方は、任意売却をすることができません。また、任意売却を行うためには、各債権者の了承をとる必要があります。そのためにも現在の滞納状況等を詳しく説明できるようにしておきましょう。

・抵当権等が設定されていない住宅ローン以外の債務はどれぐらいあるのか。

住宅ローンの抵当権が設定されていない債権者に関することも相談しましょう。「抵当権が設定されていない債務」とは、消費者金融や、自動車ローン、カードローン等を指します。こういった無担保の債権者は、住宅ローンの債権者よりも借入金の取り立てが厳しい場合があるため、そういったことも含めて相談しましょう。

・固定資産税・都市計画税・住民税などの滞納はあるか。差押されているか。

税金関係についての確認も必要です。不動産などの資産への税金は、督促状を発した日から遺産して10日が経過するまでに完納しないと差し押さえることが可能とされています。

・管理費・修繕積立金等の滞納はあるか。

分譲マンション等の区分所有の不動産の場合、「区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)」によって、区分所有権の特提携承認に対して、管理費や修繕積立金の請求ができることが定められています。

つまりマンション等の売却に置いて、管理費や修繕積立金の滞納があった場合、買主にその費用が引き継がれることになります。通常、そういった不動産が売却できるとは考えられないため、その件に関しても把握をしておきましょう。

・物件の状況

対象となる不動産の概要とともに、その不動産に現在誰が占有しているのか(住んでいるのか、利用しているのか)ということを明らかにする必要があります。

不動産の所有者が住んでいるわけではなく、賃貸にしている場合、その賃借人に関する情報や、賃貸借の期間・敷金更新状況といった賃貸借契約の内容も伝えることが重要です。

Step2:不動産価格査定

任意売却での査定は、一般的な不動産売買における査定額とは少し勝手が違います。

一般的な不動産売却時の査定を複数の不動産会社に依頼した場合、不動産会社のなかには他社よりも低い金額だった場合に、自社が媒介契約を取れない可能性があるため、一般的な市場価格より高く査定結果を提示する不動産会社もあります。そして売主は査定結果を見比べて、不動産会社や売却希望価格を決定するのです。

しかし任意売却の場合、不動産の売却希望価格を決定するのは、所有者(売主)ではなく、抵当権等を設定している債権者になります。つまり、債権者が査定結果に納得しなければ、任意売却は成立しないことになります。

債権者に提示する査定価格は高ければ良いというものではありません。

重要なことは「その価格で本当に売却できるのか」という整合性がより重視されるのです。したがって任意売却における査定価格は、市場価格を根拠に導き出された「その不動産が確実に売れる」と考える価格になります。

Step3:媒介契約締結

任意売却の流れ02

一般的な不動産の売却と同様、任意売却も複数の不動産会社に相談することをお勧めします。不動産の査定結果を比較することはもちろん、任意売却の過去の実績や、提案の内容などで、媒介契約を締結する不動産会社を決定します。 
 
基本的に任意売却は、専属専任媒介契約か専任媒介契約のどちらかを締結することになります。これは任に売却が、売主と買主を仲介する作業だけではなく、債権者との交渉や調整をするうえで、窓口を一つにする必要があるからです。

Step4:債権者との売り出し価格の交渉

すべての債権者に媒介契約書を提出して、不動産会社はその不動産の所有者から正式に任意売却の依頼を受けたことを連絡します。そして、販売価格と売却完了時の配分案を提出します。

この販売価格と売却完了時の配分案を債権者に了承してもらえるかどうかが、任意売却の特に重要なポイントです。

Step5:売却活動

任意売却における売却活動期間は、「期限の利益喪失」後すぐであれば、債権者から6ヶ月ほどの期間がもらえることを想定されます。

任意売却における売却活動は、一般的な売却活動と変わるところはほとんどありません。売主となる所有者は、不動産が売却できるように協力的な姿勢を持つことが重要です。

・内覧に協力する

不動産を購入しようと検討している方は、その物件の内覧をせずに購入を決定することはまずありません。不動産を売却するのであれば、売却検討者に内覧するために、予定を空けておく等の協力を心掛けましょう。

・室内の掃除、整理整頓

購入検討者に好印象を持ってもらうため、室内を綺麗にすることを心掛けましょう。任意売却が成立して、引越しすることも考えながら、不要なものは捨て、生活するうえで必要最低限なもの以外は片付けておきましょう。

・不動産の権利関係や近隣とのトラブル等を報告する

購入希望者が現れたとしても、権利関係や近隣トラブルといった諸問題で、商談が御破算になってしまうと元も子もない状況になってしまいます。また、そういったネガティブな情報を隠したことにより、後々のトラブルになってしまうと大変なことになってしまいます。

そういったことがないように、不動産に関する情報はもちろん、近隣の周辺環境に関す ることも隠さず報告しましょう。

Step6:配当案作成、抵当権等抹消承認

売却活動期間中に不動産の購入希望者が見つかると、その買主から「買付け証明書」をもらいます。その売却価格が想定の金額より大幅に差がなかった場合、その金額をもとにして「配分案(配当案)」が作成されます。

「配分案」とは、不動産の売却金額を債権者や利害関係者に、どこにいくらの金額を割り当てるかを一覧にした表になります。

また債権者が任意売却を認めるためには、依頼した不動産会社が「配分案」を作成する一方で、依頼人(所有者)が書かなければならない書類があります。

例えば、住宅金融支援機構への場合は「生活状況申出書」を作成しなければなりません。 「生活状況申出書」とは、所有者の現在の収入、支出、勤務先、借入金額といった内容を記載したものになります。また「分割弁済申出書」の提出を求められるケースもあります。 不動産会社と依頼者(所有者)はそれらの資料を用意し、債権者と面談を行います。

Step7:売買契約

買主からの「買付証明書」をもらい、売買契約が成立してもまだ任意売却が完了したわけではありません。債権者側は任意売却による配分案などを社内稟議にかけます。配分案などが拒否されることはほとんどあり得ないと考えられますが、任意売却に「絶対」はないと考えるべきです。

そのため、依頼者(所有者)は不動産会社と綿密な打ち合わせをするように心掛けましょう。

Step8:引っ越し

任意売却の流れ03

債権者の稟議が通り売買契約が無事完了し、依頼者(所有者)が対象となる不動産に居住していた場合、依頼者は決済日までに退去することになります。引っ越しのタイミングを間違えてしまうと、大きなトラブルになる可能性があるため注意が必要です。
 
トラブルとして考えられるのが、引っ越したものの、債権者の抵当権等担保権の抹消の承諾が得られず、任意売却ができなくなったケースや、買主がその不動産を購入する為に結んだ住宅ローンが承諾されず、売買契約が白紙解除になってしまった、などが考えられます。
 
したがって、任意売却における売買契約が締結された後も、これらの問題がクリアした後に引っ越しをするように、不動産会社に調整してもらいましょう。

Step9:決済

債権者より配分金の合意がなされてから、その不動産に居住していた依頼人(所有者)が退去した後に、残代金の決済日を迎えます。決済日は債権者にも日程が伝えられます。

決済日当日、残債務が残っている場合、債権者は今後の返済について何らかの話をしてくる場合もあります。この決済日に全てのやりとりを終えることで、不動産業務としての任意売却は終了します。

Step10:任意売却をした後

任意売却が完了した後も、依頼人(元・所有者)の債務がなくなったわけではありません。

むしろ、ここからが本番であると考えることもできます。ここで依頼者が心掛けることは「自分のできる範囲で、債権者に対して誠意を見せる」ということです。

債権者との関係性を良好な状態に保つことを念頭に置きましょう。

「自分のできる範囲」というのは、今後支払いが困難な状態になったとしても「払わない」とは言わないようにする、といった些細なことから意識することです。

「払わない」と「払えない」では、債権者にとっての印象は大きく異なります。そういった債権者との関係性を常に意識をして、新しい生活をスタートさせましょう。