2017年06月05日
竹内FP事務所 竹内美紀

改正保険業法施行から1年。乗合代理店は消費者の味方になったか

竹内FP事務所 竹内美紀

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2016年5月に、「乗合代理店」の改正保険業法が施行され1年が経った。
我々がサービスや商品を購入する際、複数の種類を比較・検討したいのは当然だ。保険も同様である。「乗合代理店」は、特定の商品のみを扱う専属代理店とは異なり、複数の保険会社の商品を取り扱う。そのため、一見公平な商品の比較ができると思う消費者が多かった。しかし、以前の乗合代理店では、店側の恣意的な誘導によって、顧客が必要としない保険を契約したケースや、高い保険料の商品を契約してしまうケースが多発した。そのため金融庁は、保険業法を改正し、顧客が本当に必要な保険商品と契約できる環境整備に努めたのだ。ではこの改正保険業法には効果があったのだろうか。保険に詳しい竹内FP事務所 竹内美紀代表に聞いた(スマイスターMagaZine)。




各社、保険のパンフレット(撮影=スマイスターMagaZine編集部)



「保険の乗合代理店(保険ショップ)」に対し、特定の商品を薦める理由の説明などを義務付ける改正保険業法が施行されて1年が経ちました。施行される前後で何が変わったのか、整理したいと思います。

「乗合代理店」とは、自社保険商品のみを取り扱う代理店ではなく、複数の保険会社の商品を取り扱う代理店を指します。


保険募集の基本的ルールの創設

そもそも改正保険業法は、「保険会社を巡る経営環境の大きな変化」に対応するため、保険契約者の利益を害することがないように創設されました。

私は、この改正を「募集人の質の向上を目指す」という観点でとらえています。
本来、顧客本位の商品提供であるべき保険提案が、保険料の多寡や募集人の成績本位になっていた業界の風習がありました。その問題に、大きくメスをいれるのではないか、という期待がありました。

保険業法等の一部を改正する法律の概要(金融庁ホームページ)
http://www.fsa.go.jp/common/diet/186/02/gaiyou.pdf

改正前に法律上定められていた募集規制は、虚偽の説明等「不適切な行為の禁止」に限定されていました。
たとえば、重要事項を告知しない、など「してはいけないこと」が定められていました。
それに加え改正後は、情報提供義務や意向把握義務など、積極的な顧客対応を求める義務を導入するものとなっています。



意向把握義務の導入
  
昨年の改正では、下記が義務化されました。

・意向の把握から、提案商品の説明、意向確認など一連のプロセスを経ること
・当初の意向と契約時の意向に変化がないか、ある場合はその相違点の確認

選んだ保険の内容確認だけではなく、「本当にこの保険で良いのか?」というプロセス自体が「意向の確認行為」として新たに求められることになりました。契約内容という「結果確認」だけでなく、契約に至るまでの過程を全て記録し、最終的に意向を再確認するということです。

これには、当初の相談段階で顕在化されていなかった本当のニーズが、募集人の提案内容とともに明らかになるという利点。募集人によっては偏った提案となり、当初の意向から変わってしまった場合に、最終段階で確認ができる、という利点があります。また、これらを実施することにより、「保険会社本位の提案」ではなく、「顧客本位の提案」になることを目指しています。

この結果として、初回相談から契約締結までに意向と保険商品等の関連性を理解する時間を持つことができるようになりました。理解が不充分だった場合は、納得のいくまで説明をすることで充分に理解を深めることができます。
例えば、その時点では「必要がない」と判断された場合でも、ご自身の中で整理がついた時に自らの意思で「加入をお願いします」という申し出を受けることが多くなりました。じっくり考え必要性を理解し、考えるプロセス自体を理解された結果です。
こういった対応は、顧客からの信頼に結びつき、短期の解約や苦情の減少に繋がりました。




(撮影=スマイスターMagaZine編集部)



情報提供義務の導入


また、募集人の提案方法に関しても、顧客への「情報提供」が義務付けられました。
代理店や募集人の資質により提案内容が異なったりすることがないように、また保険加入の適否を判断するのに必要な情報を、顧客に提供しなければなりません。

・保険募集の際に顧客が保険加入の適否を判断するのに必要な情報の提供
・比較推奨販売を行う場合の情報提供

つまり、社内で「比較推奨基準」を定め、ある顧客を「その代理店の誰が担当しても同じ基準で同じ内容で提案ができる」ように、体制を構築することが求められています。
これは、サービスレベルをある程度まで高める効果があり、誰が担当しても顧客の意向に対して適切な保険商品を提供できるという利点があります。

その一方で、その基準の作成は代理店ごとに委ねられている部分が大きいため、「保険料が高い水準の商品に誘導するような基準」などが独断で作られている可能性もあります。つまり、どんな基準であろうとも、代理店の中で規定が作られ統一的に推奨できればいいという部分も否めません。そのため、恣意的に商品の絞り込みを行わないように、「代理店を監視する監督者が必要」との声も上がっています。


法改正に効果はあったの?

 何度も述べたように、保険契約に至る過程を整理し、「顧客本位の提案」ができるような態勢作りが、改正の根幹となります。
しかし、いくら推奨基準を決めてもそれがすぐに顧客の意向に合致するとは限りません。顧客の意向を的確にとらえるには、やはり「知識」や「経験」、「人間性」が必要になります。

昨年の改正で、募集人の全体的なレベルを上げる効果はあったと思います。しかし、本当に必要なのは、カウンセリングの中で、顧客本人も気づいていなかったニーズを引き出し、本当のご意向に添えるような募集人です。
実際に、そういった人材の育成のため、事例の共有や得意分野の異なる組み合わせでペアでの対応も増えているようです。また、知識や経験が浅い募集人は、初回はマニュアル通りにカウンセリングを行ない、次回の面会までに経験豊かな募集人に相談し、対応レベルの向上を図るという方法もとられています。
証拠書類を揃えることも、今回の改正に入っておりますので、案件の積み上げと振り返り、事例の共有を続けることで募集人の質の向上につながると考えています。

金融商品は保険だけではありません。意向が合わない場合は、無理な契約をしてはいけません。見直しの時に、現在の保険の内容が適切であれば、無理に変更をしないという判断をしてくれる、例えば貯蓄目的の場合などは、内容によっては保険だけではなく違う有効な手段があることも提示してくれるような、顧客本位な代理店を選ぶことも大切ですね。


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