2017年03月30日
スマイスターMagaZine 編集部

1位は目黒?池袋?吉祥寺? 乱立する住みたい街ランキングの謎

スマイスターMagaZine 編集部

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世が移ろえば、憧れの街も移り変わっていくものだ。
1970年代は銀座、80年代は六本木、90年代は渋谷、2000年代はお台場と
各年代で文化や流行の中心を担った街がある。
それが「住みたい街」となると、3か月でこんなにも変わってしまうのか・・・。
今春、3つの大手不動産ポータルサイトが「住みたい街ランキング2017」を発表した。

だが、驚いたことに各社のランキング順位は見事なまでにバラバラなのだ。
住みたい街はこんなにも目移りするものなのか。
各ランキングの調査方法を調べると、住みたい街をめぐる難しい事情が分かった。





吉祥寺が1位、9位、圏外…の乱高下



「住みたい街ランキング」を発表したのは不動産ポータルサイトSUUMO(リクルート住まいカンパニー)、
HOME’S(ネクスト)、オウチーノ(社名同)を運営する各社だ。
引っ越しシーズンに合わせて毎年1~3月に発表されているもので、民放各局や全国紙がこぞって取り上げる人気企画だ。
一般のユーザーからも注目されており、引っ越し時の参考にする人も多い。
しかし、今年発表された各社のランキングを比べてみるとそれぞれ順位が全く違うため、
何を参考にすれば良いのか、全くわからなくなってしまうのだ。
例えば、オウチーノで1位、SUUMOで4位の目黒はHOME’Sでは17位とトップ10圏外。
HOME`Sで2位に入った三軒茶屋はSUUMOが24位、オウチーノではランク圏外(※オウチーノは10位まで発表)
と評価が大きく食い違っている。
さらに違いが顕著なのはランキング常連の吉祥寺だ。SUUMO調べは昨年の2位から今年1位に返り咲いたと大きな話題になったが、
HOME`Sでは9位に甘んじており、オウチーノに至ってはランク圏外と理不尽なほどに順位が乱高下している。
(※HOME`Sとオウチーノは賃貸と売買でのランキングを発表しているため、
今回は賃貸部門のランキングを参照。SUUMOは総合ランキングを参照)

今年、発表されたランキングなのに、どうしてこうも違いがあるのか、首をひねるばかりである。


※SUUMO調べ、HOME'S調べ、オウチーノ調べ

3社で異なる調査方法



実はこうした異常事態が起きたのは、各社の調査方法がバラバラであることが原因なのだ。

まずSUUMOは、関東圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県)在住の
20歳~49歳の男女を対象にしたWEBアンケートを実施。住みたい街(駅)を3位まで選んでもらい、
1位は3点、2位は2点、3位は1点とそれぞれ点数化し、合計得点で順位をつけているという。

HOME’Sは、サイト内で掲載している物件への問い合わせを集計してランキング化しているとのこと。
HOME’Sを運営しているネクスト(4月1日よりライフルに社名変更)の広報によると、
昨年まではWEBアンケートで調査をしていたが、「理想や憧れが優先されリアルな意見が反映できない」との理由で
今年からサイト内の物件問い合わせ数集計に変更したという

オウチーノもHOME’Sと同様にサイト内の数値を集計しているが、
こちらは物件を絞り込む段階で選択された駅ごとに順位を付けているという。




統計専門家の評価は?


それでは、調査方法から一番信用できるランキングはどれだろう、統計学の専門家に話を聞いた。

総務省統計研修所職員の小林良行さんによると、
「統計学から見ると、どれも『住みたい街』というランキングからは程遠い」と語る。

HOME’Sやオウチーノの集計では、すでにユーザーが部屋探しを行動に移している点が問題になる。
通常、部屋探しをする時は、家賃や職場への距離などを考えながら行動するのが一般的だ。
そのため、ポータルサイトで現れる数値は「住もうとしている街ランキング」になっている可能性があるからだ。

「これでは『サイト内の物件問い合わせ件数ランキング』や『駅のクリック数ランキング』でしかない」と
やや手厳しい評価にならざるを得ないという。

ではアンケート形式で調査するSUUMOはどうなのだろう。残念だが、これも不合格だという。
本来、統計とは、大きな集団の中からいくつかの標本(サンプル)を無作為に抽出していき、
その集団の特性を明らかにすることをいう。この統計調査の鉄則を踏まえた場合、
ネットで回答があった3996人の集計だけでは心もとないのが正直なところだ。
「SUUMOのランキングは、アンケートに答えてくれた人の特性によって順位が大きく変わってくると思います。
性別や年代、現在の居住地域、家族構成ごとにみると(発表された順位と)違うのでは」と
疑問の余地アリというのが小林さんの見立てとなる。


※東洋経済新報社『都市データパック』調べ(住みよさランキング2016)


「住みたい」の定義がはっきりしない


別の統計専門家によると、「住みたい街」のように定義があいまいで
個人の嗜好に左右されるものの調査はもともと困難なのだという。

それでは住む街選びに関して、参考になるランキングはないのだろうか。

東洋経済新報社が毎年発表している「住みよさランキング」というものがある。
これは、各省庁が出している公的統計をもとに、全国の市区町村の住みやすさをランキングしたものだ。
データから「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」「住居水準充実度」に分類し、
その平均を総合評価として順位付けしている。

前述の小林良行 さんも「ランキングの出典が公的統計であり、
順位の付け方もそれぞれの統計データから偏差値を算出しているので、
信用の出来るランキングになっている」一定の評価を与える。
ただ、全国の市区町村単位での順位付けで、身近に感じられないからだろうか、
マスコミではあまり大きく取り上げられないのも事実だ。
確かに、市区町村の分け方ではやや大雑把に過ぎるきらいもある。

やはり、何をもって住みたい街とするのかがはっきりしない以上、ランキング作成は容易ではない。

生き方も家族構成も多様になるなかで、人々が思う住みたい理由もまた多様化する。

まあご参考までに、くらいの扱いで楽しむのがいいのだろう。

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