2017年07月14日
柴沼直美

銀座の路線価がバブル期を超えた!なぜ一般庶民の生活は変わらないのか

柴沼直美

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7月3日に発表された路線価は、東京・銀座がバブル期を超えて過去最高額となった。しかし「バブル超え」と聞いても、庶民の感覚からはほど遠い。地価高騰と実勢の景況感が乖離しているのはなぜだろうか。元証券アナリスト、キャリプリ&マネー代表 柴沼直美氏に聞いた。(スマイスターMagaZine編集部)



銀座5丁目の交差点 (画像=ぱくたそ)


2017年7月6日に発表された路線価で、全国で最も高い地点として知られるのが東京銀座です。とりわけGINZA SIXなど大型商業施設が相次いでオープンするなど、再開発が進む銀座5丁目で特筆すべき結果が発表されました。2016年開業した銀座プレイス前、三越銀座店前、和光本館前と文具店・鳩居堂銀座本店前の4地点で1㎡あたりの評価額が4,032万円とのこと。これは前年比26%上昇、バブルの影響を受けて過去最高額だった1992年の3,650万円を大きく上回りました。鳩居堂前は32年連続の日本一になります。

国内景気は、戦後3番目の長さとなる53ヵ月連続での拡大を続けており、有効求人倍率もバブル期以来の高水準である1.49倍(バブル期以来の高水準)を記録しています。

京都をはじめとする地方の観光地も、かつてないほどの外国人観光客が訪れ、飲食店等店舗の賃貸需要やホテル用地の需要増加を背景に、都市中心部における商業地の地価は上昇を続けています。

金沢ではバブル崩壊後に東京との格差は拡大しました。しかし、ファンドバブル期以降(*)は東北新幹線の開業などの要因により、歯止めがかかっています。またリニア中央新幹線の開業が予定されている名古屋ではファンドバブル期以降、東京との格差は縮小傾向にあります。開業に向けてさらに差が縮小するかは注目すべきポイントでしょう。

(*)2004年から2006年(国内外の不動産投資ファンドによる積極的な不動産取得時代)

これだけを見れば、景気は絶好調のはずです。しかし、内閣府が発表している街角景気ウォッチャーなどでは、景気回復感が実感できていないという矛盾が観察されています。
 


さらに、平成29年5月に総務省から発表された平成28年(2016年)の1世帯貯蓄残高は1,820万円(前年比0.8%増)となり4年連続の増加と言われているものの、中央値は1,064万円、約3分の2が平均値を下回る世帯となりました。リッチ層とノンリッチ層の乖離が拡大している様子が見てとれます。




バブルは再来している?

ここでよく問われる2つの疑問について考えてみたいと思います。まず地価の上昇はバブルの再来かという点。そして2つ目は地価が上昇しているのに、なぜバブル時代のように富の効果が波及しないのかという問題です。

そもそもバブル経済はどのように発生したのかということを振り返りたいと思います。1970代に遡りますが、米国らとのプラザ合意によって急激な円高が進行したことから製造業が打撃を受け、新規投資を控えるようになりました。円高進行により輸出が減少し、不況に陥ることを懸念した政府が金利を引き下げたため、銀行が新たな融資先として不動産、小売り、住宅向けへシフトしたのがきっかけです。

その時期に、世界的にディスインフレーション(注・※インフレには至らないがデフレでもない。モノの値段が上がりにくいこと。理由は資源価格の安定、情報技術革新による企業のコスト削減の浸透そして賃金の安定)の時代を迎え、全般的にモノの価格が上がりにくい状況の中、「土地を保有していれば必ず値上がりする」という土地神話が独り歩きし、積極的に土地を担保に融資を受けるというバブル経済が発生したのです。この時代には、土地であればどこでも上昇するという状況でした。その後、日銀による総量規制などバブル退治に向けた集中措置により収束されました。



現在とバブル期の違いについて整理しましょう。バブル期との違いとして挙げられるのは「人口動態」と「GDP成長率」です。バブル時代と比較して、人口増加率とGDP成長率が低迷しています。一言でいうと、バブル時代に比べて生産年齢人口の減少とともに日本経済には活気がなくなっています。つまりバブルではないということです。





それにも拘わらず、東京の一角の土地が異常に上昇しているのは、東京への一極集中が顕著であるからだと考えられます。すなわち、東京近郊では東京五輪をきっかけとして都市再開発が進み、人口流入が進んでいることが大きな要因として挙げられます。

下のグラフは2020年以降の東京地区の人口について東京政策企画局が推計したものです。少子高齢化が加速するにもかかわらず、東京の人口はまだ増加が見込まれています。




また、訪日外国人の増加も東京および周辺都市への人口増加に寄与しています。統計によると2015年で1,973万人と過去最高を記録しました。2020年の東京五輪を控え、インバウンド需要を狙っての都市開発は東京周辺に集中し、京都などの環境整備がすすんでいる観光地を除いて、一極集中状態は一層顕著になることが予想されます。



http://demography.blog.fc2.com/blog-entry-3332.html


これらの結論としていえるのは、今回の地価の記録的な数字は、「かつてのバブル期の再来ではない」ということです。人口動態の変化、および少子高齢化の加速とともに、現役世代の社会保障負担が増加しています。

国連の調査によると、2030年に世界5大都市圏人口予測はインドのデリーや中国の北京・上海を抜いて東京が1位になるとの見通しが出ています。しかし、日本全体の人口は1億1,600万人と、現在より1,000万人減と予想されています。ここからも、いかに一極集中が著しいかということが想像できます。

全国的に資産効果の恩恵が受けられたバブル時代とは違うということ、資産効果としては今後もマイナストレンドが続き、富もまたごく一部にだけ集中するという現状を直視しなければならないでしょう。

銀座の地価がバブルを超えようとも、もう二度とあのような形のバブルは起きえないのです。

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