2018年01月15日
石井くるみの民泊最前線

民泊の180日規制 法と政策の視点から民泊規制を読み解く 前編

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毎週月曜配信「石井くるみの 民泊最前線」

カピバラ好き行政書士 石井くるみさんに民泊の最新情報を紹介してもらいます。

6月から施行される民泊新法では、1年間の民泊営業を180日に制限するというルールが設けられます。なぜ180日なのでしょうか。2回に分けて解説していただきます。
(スマイスターMagaZine編集部)



(画像=写真AC)


2017年12月26日、観光庁から民泊仲介サイトの運営事業者に対して、あることが通知されました。

住宅宿泊事業法(以下、「民泊新法」)の施行日である2018年6月15日までに、掲載物件の適法性の確認および違法民泊の掲載削除を要請するというものです。

ほとんどの民泊施設は、民泊仲介サイトへの掲載なしでは集客ができません。つまり、現時点で旅館業法の許可を受けていない違法民泊は、6月15日までに同法の許可を受けるか民泊新法の届出をしない限り、営業停止・撤退を余儀なくされることでしょう。

しかし、民泊新法の届出が行われた場合、住宅で宿泊サービスが営業できる日数は、180日に制限されてしまいます。これには、「なぜ年間180日上限なのか?」「もっと営業可能日数を増やしてもらわないと事業として成り立たない」といった不満の声も多く聞かれます。


 「それでは旅館業の許可を取れば良いのでは?

と思われるかもしれません。しかし、民泊が営まれる「住宅」や「マンション」で旅館業法の許可を受けるには、建物の用途を「ホテル」に変更・適合させる必要があります。そのためには、都市計画法や建築基準法等の厳しい規制をクリアしなければなりません。

例えば、ホテルの建築が認められていない「住居専用地域」に所在する住宅では、都市計画法の制限から、そもそも「ホテル」の建築が認められません。また、仮に都市計画法の規制をクリアしても、建築基準法の厳しい基準に適合させるため、数百万円規模のリフォームや申請コストがかかってしまいます。

その点、民泊新法では、住宅における宿泊サービスの提供日数が年間180日以下の場合、建物の用途を「住宅」扱いとする規制緩和を図っています。このため、例えば、ホテルの建築が認められていない「住居専用地域」に所在する住宅でも民泊新法の届出はできますし、建物に非常用照明器具を設置するなどの措置を取れば、建築基準法上も建物を「ホテル」としての厳しい基準に適合させる必要はありません。


では、何故180日なのでしょうか?この疑問に関して、法と政策の観点から民泊新法の規制の意味を考えたいと思います。


法の観点:主たる用途を「住宅」とすることで、関係諸法令との整合性を確保する

前述のとおり、民泊新法では建物の用途を「住宅」扱いとすることで、都市計画法や建築基準法の規制緩和を図っています。

この「住宅」扱いが認められるのは、建物の主たる用途が、依然として「住宅」であるからに他なりません。民泊新法で住宅における宿泊サービスの提供を180日に制限している理由は、残りの185日、つまり1年の過半が「住宅」として利用されることを確保し、建物の主たる用途を「住宅」と位置付けるためです。

このため、国土交通省と厚生労働省は、年間180日以外の期間を「住宅」以外の用途、例えばパーティー会場や会議室等として施設を利用する「時間貸し」に用いることは認められないとの考え方を示しています。

もし民泊新法の年間上限を185日に設定すると、その建物では1年の過半において宿泊サービスが提供されうることになります。そうなると、主たる用途は「ホテル」にせざるを得なくなり、再び都市計画法や建築基準法の厳しい規制が課せられることになるでしょう。これら既存の関係諸法令との関係からは、年間のほぼ半分の180日が上限とされたことは、むしろ最大限の規制緩和であったと考えられます。

民泊は年の半分に留めましょう」ではなく「年の半分は住宅として使いましょう。それならば、(基準が緩い)住宅扱いを認めます」と表現するとわかりやすいかもしれません。

後編では、「民泊の180日規制」を政策の観点から解説します!

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