2018年01月25日
島﨑弁護士の「底地の気になるソコんとこ」

弁護士が助言する地代増額 その3

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島﨑弁護士の「底地の気になるソコんとこ」




不動産の中でも、底地にまつわるトラブルは非常に多いです。

不動産に関する問題を多く取り扱う、みずほ中央法律事務所の島﨑政虎弁護士に、実際に起きた事例や解決方法を紹介していただきます。

前回に続き、地代の変更に関する相談事例をご紹介します。今回は「相当な期間」についての解説です。(スマイスターMagaZine Biz編集部)


関連記事:
弁護士が助言する地代増額 その1
弁護士が助言する地代増額 その2


<相談例>
地主「2年間、土地を貸しています。貸した頃から急に土地の評価が段々高くなり、固定資産税が2年で1.5倍になってしまいました。地代も1.5倍にできるのでしょうか」

弁護士「ご希望の地代まで上げられるかどうかは、実は契約している期間が重要なんです」



(画像=写真AC)


■「相当な期間」とは?


おさらいになりますが、借地に関する賃料増減額請求の要件は以下のとおりです。

・建物所有を目的とした土地賃貸借契約の成立していること
・土地賃貸借契約にもとづき借地人へ土地の引渡をしていること
・賃料(地代)が不相当になっていること
・賃料増減額の意思表示があること

つまり、現在の賃料(地代)が不相当となった場合に、当事者は賃料の増減を請求できます。「不相当」の例として、条文では、「経済事情の変動(公租公課の増減、土地の価格の変動など)」や、「近隣の相場の変動」が挙げられています。相談例にあるような、固定資産税の変動なども、「経済事情の変動」の一つの要素として考慮されます。

また、不相当な賃料かを判断するには、賃貸借契約が成立してから「相当の期間」が経過している必要があります。

たとえ現在の賃料が相当な賃料とずれのあるものでも、賃料を合意した時点から「相当の期間」が経過していないために、賃料増額請求が認められなかった判例があります。(大判昭和7年8月17日)


■「相当の期間」とはどの程度の期間か?


では、具体的にどの程度の期間を空ける必要があるのでしょうか。

困ったことに、相当の期間とは、時効等と異なり、法律の条文で決まった期間が定められているわけではありません。賃貸借契約成立、あるいは前回の賃料改定から、「借地人が新たな賃料に対して余裕を持って受け入れられる程度の期間が経過している」必要があると解釈されています。

また、借地の用途や、増額請求か減額請求かによっても変動します。
増額請求より減額請求の方が、比較的に短期間での主張が認められやすいです
この部分でも、借地人は地主に比べて保護されていることが分かります。

では、実際の裁判例からどの程度の期間が、相当になるかを見てみましょう。

1.増額請求の場合
(1)「相当の期間」の経過を肯定した事例

ア 事業用

  東京日本橋のレストラン:6年(東京地裁昭和38年7月5日)
工場:1年4カ月(大阪地裁昭和36年4月13日)
仙台のホテル:1年(仙台地裁昭和35年1月29日)

イ 居住用

  石川県所在の木造住宅:4年7カ月(金沢地裁昭和38年9月18日)

(2)「相当の期間」の経過を否定した事例
用途不明:前回の増額の合意から6カ月(大判昭和7年8月17日)

2.減額請求の場合
(1)「相当の期間」の経過を肯定した事例


用途不明:賃料の合意から6カ月(大判昭和15年8月30日)

※月額2円/坪から、月額1円40銭/坪への減額
減額理由:地価低落

(2)「相当の期間」の経過を否定した事例
用途不明:土地賃貸借契約締結後、同月末(大阪地裁昭和8年9月19日)

3.裁判上の和解等についての特殊な取り扱い
また、当事者間の合意だけではなく、調停や裁判上の和解、判決によって賃料が改定される場合もあります。

こうした裁判所が関与した合意後の増減額請求については、通常の当事者間の合意の後の増減額請求の場合よりも長い期間が経過していないと、相当期間が認められないことが多いです。

比較的に相当期間が認められやすい減額請求において、相当期間が経過したと認められなかった事例を紹介します。

(1)事例1:裁判上の和解後、10カ月
裁判上の和解の10カ月後に、借地人が減額請求をした事案です。裁判所は減額請求を認めませんでした(東京地裁昭和10年3月6日)。

(2)事例2:調停成立後、5カ月
賃料を定める調停が成立した5カ月後に、借地人が減額請求をした事案です。裁判所は減額請求を認めませんでした(東京地裁昭和11年12月21日)


■まとめ


繰り返しになりますが、賃料が不相当となった場合、賃料の増額請求をすることができます。


この「不相当」と認められるためには、「相当な期間」が経過している必要があります。
特に、地主側での増額は、年単位での期間経過が必要です。この点を考えると、冒頭の相談事例の「契約してから2年」では、相当な期間の経過が認められない可能性があります。

一方で、借地人側からの減額は、1年未満でも認められた事例があります。

また、裁判所が関与して賃料が決まった場合、その後「相当な期間」が認められるためには、通常の賃料改定合意よりも長い期間が必要になります。

裁判所が関与する手続きを選択する場合は、その後しばらく賃料を変えられないというリスクまで織り込んで判断する必要があるのです。

賃料増減額請求における「相当な期間」ついての基本的な点については、以下のウェブサイトに詳しくまとめてあります。あわせてご覧いただければ幸いです。

【賃料増減額請求における『相当期間の経過』(裁判例と相場)】
https://www.mc-law.jp/fudousan/24786/

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