2017年09月20日
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吉田拓郎「ハートブレイク・マンション」松本隆と作り上げた人生の悲しみ

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■曲名:ハートブレイク・マンション(アルバム『ローリング30』収録)
■アーティスト:吉田拓郎
■作詞:松本隆
■作曲:吉田拓郎
■レーベル:フォーライフ・レコード
■リリース:1978年



(画像=写真AC)


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吉田拓郎「ハートブレイク・マンション」の住人は、タイトル通り誰もが傷心ムードだ。

暗い近道を潜り抜けると
翼を広げる色のない街…

と、拓郎の曲としては珍しく「語り」から曲が始まる。

声とは裏腹に陽気なアコースティックギターに乗って歌われる住人たちの生活は、どこか生気を感じられない。みな、うつろな様子だ。

303号室に住む若い少女は、失恋したばかり。

エレベーターに泣いて乗り込む」。

505室に住む中年夫婦は娘を嫁に送り出したばかりで、さみしい生活を送っている。
さらに夫は浮気中で、妻はそれを見て見ぬふりしている。

707号室に一人で住む年配の女性は、痴ほうが始まっている。

老婆の夢は 身体を離れ ふるさとの山や川をさまよう」。

こうして、誰しもが経験する「失恋」や「別れ」「老い」などの人生の悲しみを、マンションの住民たちになぞらえて歌っているのだ。

この曲が納められた吉田拓郎のアルバム「ローリング30」は、全21曲にも及ぶ大作だ。リリース当時32歳だった拓郎が、若者の代弁者というイメージを脱ぎ捨てたアルバムでもある。

また、アルバムのうち15曲が松本隆によって詞が手がけられている。

ロックバンドはっぴいえんどを解散したのち、音楽プロデューサーを経て作詞家になった松本は当時、作詞家界の大御所 阿久悠に迫らんとする勢いがあった。

拓郎は、松本と2人で箱根のホテルにこもり、激しくぶつかり合いながらアルバムを制作した。後に拓郎は当時のことを、「松本隆を強姦した」と不穏当な言葉で語ったという。それほどに表現者同士の意地がぶつかりあう、壮絶な制作現場だった。

また、アルバムには、拓郎のキャリアでも屈指の名曲と言われる「外は白い雪の夜」も収録されている。作詞はもちろん松本だ。

大事な話が君にあるんだ
本など読まずに今聞いてくれ
ぼくたち何年つきあったろうか
最初に出逢った場所もここだね

単純な愛の歌かと思いきや、実は別れを歌うという。聞き手を、あっさり裏切る展開に松本の詞世界が濃縮されている曲だ。

この歌は男女が交互に相手に語り掛けるように進む。男は別れの言葉を、女は涙を語るのだ。
自在に視点を変えながら雪降る夜の別れを、ドラマに仕立てていく技術は松本の真骨頂といっていいだろう。

拓郎は男女のパートを見事に歌い分けて、シンガーとしての力量を見せつけている。

「ローリング30」は二つの才能が生み出した名盤と言えるだろう。



90年代にはカップラーメンのCMに出演した吉田拓郎 (画像=イラストAC)


(敬称略)

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