2017年07月07日
橋本 秋人

2160万戸の衝撃!日本が空き家大国になった理由

橋本 秋人

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6月20日、野村総合研究所が2017~30年度までの新設住宅着工戸数とリフォーム市場規模予測と、18~33年の空き家数・空き家率の予測を発表した。2033年には空き家数が2,160万戸を超え、空き家率は30.4%まで達する、という予想は非常に衝撃的だった。空き家事情に詳しいFPオフィス ノーサイド 橋本秋人代表に聞いた。(スマイスターMagaZine編集部)



空き家(画像=写真AC)


日本は空き家大国だった

実は昨年6月にも、野村総合研究所(NRI)は、2033年の空き家率予測を30.4%と発表しており、今回も同じ予測を発表したことになります。さらにNRIは3年前の2014年のレポートでも、2023年には空き家率が21%に上昇すると空き家の増加に対して警鐘を鳴らしています。また、総務省は3年前の2014年に空き家率を13.5%と発表していますが、イギリスの空き家率は3.6%(不動産流通推進センター2013年報告書)、オーストラリアでは2.5%(propertyupdate.com.au2015)と海外の先進国と比較しても、日本の空き家率の高さには目を見張るものがあります。


それでは、なぜこんなにも空き家が増えてしまったのでしょうか。
主として以下の要因があげられます。
①少子高齢化による人口の減少
②新築住宅着工戸数の多さ
③除却建物の少なさ
④中古住宅流通の少なさ
⑤都市計画、住宅政策のなさ


そもそも日本の新築住宅着工戸数の水準は欧米と比較しても格段に高く、昨年も約96万戸の新築住宅が建設されました。人口が日本の約2.5倍のアメリカの着工数は110万戸前後です。イギリス、フランスにいたってはそれぞれ約16万戸、約33万戸ですから、日本の新築住宅着工戸数の多さは際立ちます。(国土交通省平成28年既存住宅流通シェアの国際比較。下記の中古住宅流通シェアの数値も同じ)

新しい住宅が増えた分だけ、既存の住宅が除却されれば空き家は増えません。しかし、実際に昨年取り壊された住宅は約11万戸です。つまり、1年間で差引き約85万戸の新たな住宅ストックが生まれたということになります。

また、日本では新築住宅の供給と比較し、中古住宅の流通量は非常に少なく、住宅の流通総数の内、中古住宅のシェアはわずか14.7%しかありません。欧米での中古住宅流通シェアは、アメリカ83.1%、イギリス87.0%、フランス68.4%と、新築住宅より中古住宅のほうが圧倒的に多いのが実情です。もともと日本人は新築指向が強いことに加え、過去大量に供給されてきた住宅は品質の低いものが多く、購入者のニーズに応えられないことも中古住宅の流通を阻害している理由と考えます。

また、国や地方自治体も、都市計画の政策が一貫していません。市街化調整区域や災害の危険が予測される地域など、本来は住宅建設を抑制すべき地域にも、建設ができるよう規制緩和を行いました。そのため、住宅の大量供給と散在化を許してしまったことも空き家の増加に拍車をかけています。


空き家の増加を個人の目線で見てみると?

ところで空き家が増えるとどのような問題が生じるのでしょうか。

まず空き家の所有者が売却する際に、競合物件が数多くあるために価格競争になり売却価格は下落します。それでも価格を下げれば売れる物件はまだ良いほうで、今後は価格を下げても売れない物件が増えていくでしょう。

ただ一方で、消費者目線で考えるとプラス面も多いと思われます。
不動産の価格や賃料が下落することにより、住宅を安く購入したり、良い物件を安く借りたりするチャンスも増えるでしょう。
また、需要に対して供給が多ければ物件の選択肢も増えることになります。

地方の空き家には信じられないほど安い価格のものが数多くあります。ネットで不動産サイトを見ても、数百万円どころか、数十万円、数万円という物件も売りに出されています。
これから、さらにITネットワーク化が進むと、業種・職種によっては必ずしも都会の事務所で働く必要がなく、地方の自宅でも十分に仕事ができる機会が増えるでしょう。豊かな自然の中で仕事もしながらゆったりとスローライフを満喫したいという人や、住宅に過大なお金をかけずに趣味や生きがいを大切にしたいという人には、地方に住むという生き方も選択肢のひとつになるのではないでしょうか。

ただし、空き家を購入する場合は、出口戦略も考えておかないと、ババ抜きのように将来のお荷物になってしまう可能性もあります。



画像はイメージです。実際の数値等とは関係ありません(画像=写真AC)


地方自治体の対策は効果があるのか?

個別に見ると多くの地方自治体では、人口減少に歯止めをかけ空き家増加を抑制しようと様々な取り組みをしています。

現実に、町おこしや雇用の創出、魅力ある子育て環境づくりなど様々な工夫や努力が成功して、人口減少から増加に転じたり、若い世代の流入が増加したりしている自治体もあります。
しかし根本的な問題として、日本の人口減少が続く限りは、結局はゼロサムゲームのように他の地域と住民の奪い合いをしているだけで、空き家問題そのものが解決するわけではありません。

空き家問題の具体的な解決(改善)方法としては
①少子化対策(子育て支援)
②海外から人の受入れ
③利用しない空き家の除却推進
④住宅のグレードアップと長寿命化
⑤中古住宅流通の促進
⑥コンパクトシティの推進による都市計画の効率化

などがあげられますが、ほとんどが国レベルで進めていかなければできないことばかりで、効果が確認できるまで時間もかかります。今、国や自治体も根本的な対策を打ち出し始めています。


今後の国や地方自治体の対策に注目

国土交通省は2014年に「国土のグランドデザイン2050」という構想を公表しており、2050年には人口が9,700万人まで減少することを前提に、国民が「豊かさ」と「安心」を確保するために「コンパクト&ネットワーク」という地域構造をつくり、国土形成の見直しをすすめていこうと動き始めています。


また現在、全国の自治体では2014年に改正された都市再生特別措置法基づき「立地適正化計画(以下計画)」の策定を進めています。これは、コンパクトシティ推進のために、自治体ごとに都市機能や居住を誘導する区域を決め、今後新しい町づくりを進めていこうというものです。今年3月末時点で全国の348市町村が具体的な取り組みを始めており、4月末時点で108都市が計画の策定を完了し公表しています。
この計画で新しいまちづくりから除外された地域については、今後インフラ整備計画から除外されたり、利便性が損なわれていくことも予想されます。そのような地域にある物件はさらに注意が必要です。

今後は国や地方自治体の動きなどもチェックしながら、人口減少率が高いエリアや立地適正化計画で誘導地域からはずれたエリアに空き家を所有し、かつ自ら利用や活用を考えていない場合は、早期に売却を検討することも必要になると思われます。
    
NRIは今回のレポートの中で空き家が30.4%になるのは「既存住宅の除却や住宅用途以外への有効活用が進まなければ」という前提条件をつけています。そのようにならないために、有効な対策の実施を期待しながら、自らも資産防衛をしていかなければいけませんね。


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