2018年01月12日
橋本秋人「使える空き家ビジネスのススメ」

海外と比べて日本に空き家が多い理由

橋本秋人「使える空き家ビジネスのススメ」

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橋本秋人「使える空き家ビジネスのススメ」

社会問題化する「空き家問題」は不動産業界のビジネスチャンスでもあります。
そこで、空き家に関する講演やセミナー登壇で活躍する橋本秋人さんに、空き家を取り巻くビジネスの羅針盤になるような知識を紹介していただきます。読めば空き家問題、恐るるに足らずと思える連載です。

第2回目は、海外と比較した際に、なぜ日本には空き家が多いのかを紹介します。(スマイスターMagaZine Biz編集部)




(画像=写真AC)


820万戸、日本では、なぜこんなにも空き家が増えてしまったのでしょうか。
諸外国の状況を見ると、イギリスの空き家率は3%台、オーストラリアではわずか2%台です。他の先進国と比べて日本の空き家率が突出して高いことがわかります。
日本で空き家が増加した背景には、主として以下の要因があげられます。


①新築住宅着工戸数の多さ
日本の新築住宅着工戸数は欧米と比較しても格段に多く、2016年も約96万戸の新築住宅が建設されました。

人口が日本の約2.5倍のアメリカでさえ着工数は110~120万戸の水準で日本の1.2倍ほどです。イギリス、フランスにいたってはそれぞれ約16万戸、約33万戸ですから、日本の新築住宅着工戸数の多さは際立ちます。(国土交通省平成28年既存住宅流通シェアの国際比較。下記の中古住宅流通シェアの数値も同じ)

住宅着工数の推移

(画像=スマイスターMagaZine Biz編集部)
出展:国土交通省「住宅着工統計(2017年)」


②除却建物の少なさ
新しく住宅が建設されても、その分既存の住宅が除却されれば新築に伴う空き家は増えません。しかし、実際に2016年に取り壊された住宅は約11万戸しかありませんでした。つまり、1年間で差引き約85万戸もの新たな空き家が生まれたということになります。

除却が進まない理由としては、違法建築等で再建築ができない、解体費負担を避ける、土地の固定資産税等の増加を嫌う、などがあげられます。


③中古住宅流通の少なさ
①であげた新築住宅の供給と比較して、中古住宅の流通量が少ないという点も空き家を増加させる要因になっています。住宅の流通総数のうち、中古住宅のシェアはわずか14.7%しかありません。欧米での中古住宅流通シェアは、アメリカ83.1%、イギリス87.0%、フランス68.4%と、新築住宅より中古住宅のほうが圧倒的に多くなっています(国土交通省・平成27年「中古住宅市場・空き家活用促進・住み替え円滑化に向けた取り組みについて」)。

もともと日本人は新築指向が強いことに加え、過去大量に供給されてきた住宅は品質の低いものが多いという点がネックになっています。中古住宅が購入者のニーズに応えられないことも流通を阻害している理由になっています。

④都市計画の緩さ、行き当たりばったりの住宅政策
国や地方自治体も、都市計画の政策が一貫していません。
政府や自治体は、市街化調整区域や災害の危険が予測される地域など、本来は住宅建設を抑制すべき地域にも、建設ができるよう規制緩和を行っています。そのため、住宅の大量供給と散在化を許してしまったことも空き家の増加に拍車をかけています。今、話題になっている「都市のスポンジ化(※)」も、住宅政策が一因といわれています。

※注1:空き家や空き地が街に点在することで、都市の密度が低下する状態。行政インフラやサービス産業の非効率化などの弊害がある。


⑤少子化による人口の減少
日本の人口は2009年をピークに減少に転じています。しかし、一人暮らしや上京によって世帯が分かれることから、世帯数はまだわずかながら増加しています。ところが、その世帯数も2年後の2019年をピークに減少に転じると予測されています。

当然ながら世帯数の増加以上に住宅の数が増加することにより空き家は増えます。それに加え、世帯数が減少は空き家の増加に拍車をかけることになります。もちろん地方ではすでに世帯数の減少が進んでいるため、より事態は深刻です。


■空き家の増加により生じるデメリット


それでは、空き家が増えるとどのような問題が生じるのでしょうか。


これは主に近隣への悪影響、市場性低下の2つの問題があります。

1.近隣への悪影響
管理不全の空き家は、近隣に対し、防災、防犯、衛生、景観など多岐にわたり悪影響を与えます。
築年数も古く耐震性も劣る空き家が多いため、地震による倒壊や屋根・外壁の落下など、防災上の危険があり、状況によっては近隣にも被害を及ぼします。

また外部からの侵入による犯罪の誘発、ごみの不法投棄など防犯性も低下します。
その他にも、衛生上の悪化要因として、害虫・害獣の発生や侵入があり、悪臭の原因にもなります。

そして、空き家そのものはもちろん、近隣の景観や印象を悪化させ地域の資産価値を押し下げる原因となります。

さらに雑草の繁茂、樹木等の越境や倒木、落ち葉の飛散などもあり、空き家は近隣住民にとってもたいへん迷惑な存在になります。当然所有者にとっても、毎年の維持費や管理など、経済的、精神的に大きな負担が続きます。

2.市場性の低下
また、空き家が増加すると、結果的に中古住宅の売却物件も増えるため、需給バランスの崩れから不動産相場が下落します。前述のように、日本では中古住宅流通量が少なく、更に建物の品質に対する信頼の低さから、空き家はより売却が困難になっています。


日本における空き家増加の要因と、空き家増加がすることでの問題点を紹介しました。
では、国や自治体は、このような空き家の増加に対してどのような対策を講じているのでしょうか。

次回は、行政の対応についてご紹介します。

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