【コラム】建設業界の今後について

建設業界の話題で注目されていることは、2020年の東京オリンピック開催が決定し、競技場の追加建設、選手村周辺の建設事業、インバウンドを見越した都市部の再開発事業などで建設ラッシュが続くというニュースが有名だと思います。しかし、現実は建設業界には様々な問題があります。建設業界の現状と今後について記載いたします。

 

建設業界は人材不足

 

国土交通省のデータによると建設投資額のピークは平成4年で約84兆円、就業者数は619万人で過去最高になっており、平成26年度は48兆円、就業者数は499万人となっております。建設投資額はピーク時に比べると6割以下、就業者数も8割程と減少傾向がみられます。それには少子高齢化が要因としてあげられます。現在、就業者の55歳以上が約34%、29歳以下が約10%以下となっており、高齢化のスピードが早まってきております。このため、将来的に仕事はあるが、人材がいないという状況に陥る可能性が懸念されています。

一方で、2020年に東京オリンピックの開催が決まり、建設業界では約4,700億円の経済効果が期待されています。東京での開催で、鉄道や高速道路などのインフラ整備が進んでいます。そのため、人材不足という点では工事の遅延や延期が発生する可能性もあり、建設会社のコストを圧迫するため、人材の確保という問題を早急に解決しなくてはなりません。

 

建設業界の構造とは

 

建設業界はピラミッド型の構造になっています。大手5社(大成建設、鹿島建設、清水建設、大林組、竹中工務店)がいわゆるスーパーゼネコンといわれており、業界の15%~20%のシェアを占めています。その下に全国展開する大手ゼネコンが50社程存在しており、さらにその下には地方中心のゼネコンが約2万社あり、その他施工実績がある企業は20万社にのぼります。一般的にゼネコンと言われていますが、ゼネコンとは総合建設業を指します。そのため、住宅メーカーやリフォーム会社なども含まれます。そのため、現在の建設業界は幅が広く、様々な企業があります。また、建設業界は長年にわたって業界再編が起こりにくいと言われてきました。しかし、人材不足を補うためのM&Aやハウスメーカーが川上の建設会社を買収するなど、業界の枠を超えた戦略が起きています。また、海外での基盤をつくるために、海外の企業をM&Aで買収し、海外事業にも力をいれていくという戦略をとる企業もあります。

業界としては震災による復興事業や東京オリンピックなどの建設事業、2027年のリニアモーターカーに関する事業などもあり、国内でも先行きは明るい業界とも言えます。しかし、それ以降の業界の先行きについては不安視される声もあります。

 

今後の建設業界の抱える問題

 

利益率が低いことが問題の一つとして考えられます。業界内での需要が高まっているとはいえ、供給過剰の状態は続いています。それ故、各企業間での価格競争が繰り広げられています。価格競争が起きている業界は、今後一時的にでも市場が縮小する可能性があります。また、それ以上に深刻な問題となるのは低価格で案件を引き受ける企業が増えることで、最終的にそのしわ寄せは現場で働く労働者一人一人にくることになります。これが業界として人材不足を引き起こしている要因の本質になっていると思います。市場規模も成熟しており、国内では民間からの需要が縮小しており、国の政策などでも業界としては手痛い逆風となっています。現在、活躍している世代が定年を迎える時までにこれらの問題を解決できていなかった場合、業界再編が起きる可能性が十分にある業界といえます。各企業は早急にこれらの問題を解決するか、M&Aを行い市場のシェアを取りに行くか、という選択を迫られていると思います。